マルテンパ/オーステンパ/サブゼロ処理
金属製品熱処理用語の”熱処理一般”に分類されている用語のうち、『マルテンパ』、『オーステンパ』、『サブゼロ処理』のJIS規格における定義その他について。
鉄鋼及び非鉄金属からなる機械部品、ジグ、工具、金型などの金属製品の熱処理に関する主な用語として、金属製品熱処理用語(JIS B 6905)において、”熱処理一般”に分類されている用語には、以下の、『マルテンパ』、『オーステンパ』、『サブゼロ処理』などの用語が定義されています。
金属製品熱処理用語(JIS B 6905)
⇒【熱処理一般】
分類: 金属製品熱処理用語 > 熱処理一般
番号: 1441
用語: マルテンパ
定義:
鉄鋼製品の焼入れによる変形の発生や焼割れ(※1)を防ぎ、かつ、適切な金属組織を得るため、マルテンサイト生成温度の上部又はそれよりやや高い温度に保持した冷却剤中に焼入れして、各部が一様にその温度になるまで保持した後、徐冷する処理(2)。
JIS G 0201 参照。
備考:
マルクェンチともいう。
対応英語(参考):
martempering,
marquenching
分類: 金属製品熱処理用語 > 熱処理一般
番号: 1445
用語: オーステンパ
定義:
鉄鋼製品の焼入れによる変形の発生や焼割れ(※1)を防ぐとともに、強靭性(強じん性)を与えるために、Ac3 又は Ac1点以上の適切な温度に加熱して、安定なオーステナイト組織にしたものを、変態を阻止して、そのままフェライト及びパーライト生成温度以下、マルテンサイト生成温度異常の適切な温度範囲に保持した冷却剤中に急冷し、その温度でベイナイト(※2)に変態させた後、室温まで冷却する処理(2)。
JIS G 0201 参照。
対応英語(参考):
austempering
分類: 金属製品熱処理用語 > 熱処理一般
番号: 1451
用語: サブゼロ処理
定義:
鉄鋼製品の耐摩耗性の向上、経年変形などを防ぐために、焼入れ後直ちに0℃以下の低温度に冷却する処理。(2)。
JIS G 0201 参照。
対応英語(参考):
sub-zero treatment
(※1)
焼割れとは、焼入応力(焼入れで生じる残留応力)によって生じる割れのことです。
(※2)
ベイナイトとは、パーライトが形成される温度と、マルテンサイトが形成され始める温度との間の温度間隔で起こるオーステナイトの分解によって形成される準安定構造物で、炭素がセメンタイトの形を取って微細に析出しているフェライトからなるもののことです。