溶体化処理（固溶化熱処理）／時効硬化処理
金属製品熱処理用語の”熱処理一般”に分類されている用語のうち、『溶体化処理（固溶化熱処理）』、『時効硬化処理』のJIS規格における定義その他について。
鉄鋼及び非鉄金属からなる機械部品、ジグ、工具、金型などの金属製品の熱処理に関する主な用語として、金属製品熱処理用語（JIS B 6905）において、”熱処理一般”に分類されている用語には、以下の、『溶体化処理（固溶化熱処理）』、『時効硬化処理』などの用語が定義されています。
金属製品熱処理用語（JIS B 6905）
⇒【熱処理一般】
分類： 金属製品熱処理用語 > 熱処理一般
番号： 1611
用語： 溶体化処理（固溶化熱処理）
定義：
金属の合金成分が固溶体（※1）に溶解する温度以上に加熱して、十分な時間保持し、急冷して、その析出（※2）を阻止する処理（9）。
注（9）
JIS G 0201 及び JIS W 1103 参照。
備考：
固溶化熱処理ともいう。
対応英語（参考）：
solution treatment
分類： 金属製品熱処理用語 > 熱処理一般
番号： 1615
用語： 時効硬化処理
定義：
硬さ、強さ又は耐食性などを増進させるために適切な温度、又はある種類の合金や質別に対しては室温で、溶体化処理（固溶化熱処理）した製品を均熱（※3）保持する処理（8）。
注（8）
JIS W 1103 参照。
備考：
析出熱処理ともいう。
対応英語（参考）：
ageing treatment,
ageing,
precipitation hardening treatment,
precipitation heat treatment
（※1）
固溶体とは、2種以上の元素によって形成される均一な固体の結晶質の相のことです。
（※2）
析出とは、固溶体から異相の結晶が分離成長する現象のことです。
なお、過飽和固溶体（その温度での平衡溶解度以上に溶質を固溶している固溶体）からの1種以上の化合物の析出による鉄鋼製品の硬化のことを、析出硬化と言います。
（※3）
均熱（又は均熱処理）とは、温度が一定に保たれる熱サイクルの部分のことで、主として、材料の内外の温度差が少なくなるようにする目的で、適切な時間、一定の温度に保持することをいいます。
